代表印製作の過程

代表印イメージ

絶対離婚する、明日には離婚すると切り出す、姉の電話はいつもそこから始まった。
しかし、なかなか離婚できていないのはよくわかっている。
なんせ、3年はそのような電話がきている。
実際、結婚とは自然にするものではないと思う。
ただ成り行きで結婚に至ってたような気がする。

状況が大きく一転したのは、1か月位前の話だ。
姉が会社を任されることになったのだ。
といっても、実質のオーナーは姉の友人で姉は完全にお飾りであった。
輸入物の下着屋であった。
会社設立の打ち合わせは旦那に内緒で行われていた。
まるで、今までとはまるで別人のように打ち合わせにサクサクと出かけ、トントンと進ませていた。
それと同時に離婚への意志も固まっていた。
しかし、なかなか切り出せないでいた。
姉は夜も出かける事が多くなった。
もともと、飲みに出かけることには、寛容な旦那であったのでゆるやかなしかし確実なペースで回数は増えていった。

ある日の電話で彼女は
「ねぇえ、一日には朝、ひるま、夜の3つじゃないって気づいたの。夜中もあるの。夜中だって遊べちゃうの。次の日ちゃんと朝起きてやらなければいけない事をこなせば良いだけなの」と言った。
しかし、日常が確実に変化していても、離婚については1ミリも変化なく暮らしている主婦にすぎなかった。

そんなある日、代表印をつくることになった。
いよいよ、会社設立が大きな一歩を踏み出すことになるのだ。
代表印は会社にとってみれば一番大切な印鑑である。
印鑑を作るためにハンコ屋に行った帰り、姉はメールで離婚したいと伝えていた。
代表印製作の過程は、主婦から社長に変えていた。
代表印の力はやはりすさまじい勢いがあると私は思った。

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