代表印を押してみて

代表印イメージ

代表印を手にしてから、じわじわと実感してきた。
そもそも代表印を作ることによって、社長としての実感がわくものだと思っていた。
しかし、はんこ屋で受け取った時も大した感情は生まれなかった。
なんもなかったといえば、そうでもないが、ちょっとだけドキドキするようなそんな変化でしかなかった。
ハンコを押すことは初めてではない。
現に法務局に行っている。

しかし、新品の椅子や棚の並んだ事務所にはいり、新築でもないのに今までかいでいない新鮮なにおいの中、席に着く。
居場所だと思った。
ここが新しい居場所でこの椅子に座ることで今の初心を忘れないようにいよう。
謙虚でいよう。
そう決めたときに思い出したように代表印を取り出した。
取り出して、そして、真新しいメモ帳に押してみた。
その時に思ったのだ。
ここがスタートだ。
そんな気持ちで押印した。
代表印にたっぷりのインクをつけて力いっぱい押した。

そのメモ紙を手にして、鼓動が聞こえてきそうなくらいドキドキしていた。
急に不安になったのかもしれない。
大丈夫なのか。
会社員ではない。
何かがあってもお給料がただただ入ってくるわけではないのだ。
不況もあるし、うまくいかなくなることもトラブルもあるだろう。
順風満帆にすべてがいくことなんてないと思っていた。
はずなのに、急に不安になってきたのだ。
売り上げがない時はどのように切り抜ければいいのだろう。
支払いが滞るようなことがあってはならない。
大丈夫だろうか。
そんな不安もじわじわとやってきた。
そのハンコの押されたメモは恐ろしいもののように見えていた。

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